宅建業を始めるにあたり別会社を立ち上げる場合。

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宅建業を始めるにあたり別会社を立ち上げる場合


平成29年8月3日
テーマ  不動産会社設立

宅建業を始めるにあたって既存の経営している会社ではなく、新しく不動産会社を立ち上げた上で始める方が多くいらっしゃいます。

では、別会社を立ち上げる場合、どのような効果があるのでしょうか?



1.ブランディング

  宅建業を始めるにあたり、既存の会社と一線を画したい場合や既存のマーケットとは別のマーケットを開拓したい場合などに新しい会社を立ち上げます。


社名などは、「○○工業」、「○○商事」、といった場合よりも「○○不動産」の方が不動産業としてはなじみやすいかもしれませんし、不動産の専門家のイメージがつきやすくなります。


反面、既存の会社のブランド力の活用することは難しくなります。



2.経営責任の明確化

  不動産業を社内の1部門として始めると、事業としての明確な線引きが難しくなりがちです。

ずるずると赤字を引きずったまま、本業の利益を圧迫してしまう場合があります。

これに対し、新会社を立ち上げる場合には、売上、経費、利益、資金繰り等、不動産業としての会社の経営状態が明確化されます。



3.節税の効果


  別会社を設立する最大の効果は節税面です。

別会社を作ることによって以下の税制メリットがあります。


(1)消費税納税義務の免除


  資本金1千万円未満の会社の場合、最大2年間の消費税の納税が免除されます。



(2)法人税率が低くなる可能性


  現行の法人税は23.4%ですが、課税所得が800万円以下の場合には、税率が15%になります。

両者で利益がでている場合には、利益分散により低い税率の適用が可能になります。


(3)交際費が多く使える


  中小企業では、年間800万円までが交際費として全額損金として計上できます。

新会社を作ることにより、使える交際費が増えることになります。


(4)小額減価償却資産の特例


  中小企業では、30万円未満の消耗品を一括で経費として計上できます。この特例は年間300万円が上限です。

新会社を作ることにより、この特例の使用可能額が増えます。


上記以外にも、転籍による退職金の活用等、節税メリットがあります。

ただし、均等割が増える、赤字の場合は節税できないなどのデメリットも当然あります。

また、必ずしも上記メリットが認められない可能性もあるので、税理士等にあらかじめ確認をされる方がよいでしょう。





4.コスト面の増大


  新会社設立はメリットだけではありません。

会社を設立するには最低でも25万円程度の費用がかかりますし、税理士、社労士等を顧問にすれば、顧問料も倍かかります。

役員変更等の登記費用も当然、会社ごとに必要になります。

会社を分ける場合には、こういった会社を維持する上でかかるコストが増えていってしまいます。





5.宅建業特有の問題


  通常、会社の設立登記は、既存の会社と同一場所であっても、社名が同一でない限りは登記をすることができます。


しかし、宅建業の事務所は独立をしている必要があるため、既存の会社と共有での事務所使用は認められません。


そのため、新会社を設立した上で、宅建業を始める場合には、不動産会社用の事務所を別に用意しなければなりません。


また、代表者は常勤する必要がありますし、宅地建物取引士は専任である必要があります。


そのため、既存の会社の代表取締役を兼ねている場合には、代わりの現場責任者として政令使用人を置く必要がありますし、宅地建物取引士が専任できない場合には、専任できる資格者を別に雇う必要がでてきます。





いかがでしょうか?


1度、会社を立ち上げてしまうとなかなか後から対応することが難しくなってしまいますので、新会社を立ち上げる場合には、事前にメリット、デメリットを検討した上で始めることをおすすめします。











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